hamadata's diary

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ひさびさに本を読んだ。 動的平衡2

本書の筆者は、花粉症のアレルギー反応を抑える抗ヒスタミン薬を例に、人体のある機能に対して作用する「薬」というものの意義について懐疑的な見方を示している。ある機能を阻害する薬を飲めば、その異常な状態を本来あるべき平衡状態に戻すべくさらなる過剰反応を示すのは、動的平衡論からすればごく自然なことなのだろう。
しかし、花粉症はともかくさしあたって厄介な病気に対抗したい私たちは薬以外の何をつかって対処すればよいのだろう。ちょっと病気をすれば、ある症状や機能を改善する薬を飲み、さらにその薬の副作用をおさえるために、さらに別の薬を、と、結局アホみたいな種類の薬を飲む羽目になることを経験できる。が、しかし、それは現時点でそれなりに調子よく生き長らえるための手段として致し方ないものであるとも理解している。本書には、「じゃあどーすりゃいいのよ」という疑問に対する回答は書かれていなかった。

と、人間の健康や寿命といった問題についてちょっと悲観的な視点が見え隠れしなくもないが、ラマルクから始まる進化論と現代の分子生物学の対比など、生物学の歴史を著者独自の視点で解き明かしている部分については興味深い。化学(ばけがく)と生物をばっちり切り離して学んだ高校時代のいかにも無味無臭の教科書の内容に興味が持てなかった人にもおすすめできる内容。